Normalizer
ノーマライザー
守り×決断
このグループの特徴は、安定性と一貫性、そして専門性です。ノーマライザーは、チームの基盤やルールをしっかりと支えることを大切にして、ひとりひとりの専門性やスキル伸ばすことに注力します。
各々が専門家として独立することが望ましいと考えています。
実益よりも、学びやスキル習得を重視するため、デザイン、IT、士業などの専門志向の人たちが集う傾向にあります。
ノーマライザーの代表例
日本規格協会(JIS)、公益社団法人日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)、一般社団法人情報処理学会、IT分野の知識の体系化と標準化、WordPressもくもく会、さすけ
ノーマライザータイプの経営者・リーダー
大前研一(経営コンサルタント、元マッキンゼー)、伊藤忠雄(建築家)、養老孟司(解剖学者、評論家)、茂木健一郎(脳科学者)、池上彰(ジャーナリスト、教育者)、佐藤優(作家、元外務省主任分析官)
文化
雰囲気
ノーマライザーコミュニティは、エキスパートの集団です。異業種交流会よりも、同業種交流会になりがちです。ノーマライザーは、特定のカテゴリー内で共通の知識の学び、技術の向上することを楽しみたい人たちのコミュニティです。
オタクの集団
- エンジニアやプログラマーが最新の技術について学んでいる
- クリエイティブ系の人たちが集まり、新しいソフトの使い方を習得する
- アスリートの人たちが集まり、筋トレや身体の使い方について学ぶ
このコミュニティの特徴は、プロフェッショナル・エキスパートが自然と集まりやすいことです。お金を稼ぐことよりも、自分の技術を磨くことに対して意識が高い人たちの場と言えるでしょう。
ビジネスは二の次
ビジネスは二の次です。お仕事を紹介し合う文化はありません。一方で、自然とプロフェッショナル・エキスパート同士が集まるため、実力さえあれば、不思議なくらいお仕事にありつけます。
規律重視
ノーマライザーコミュニティでは、規律性を大事にします。みんな「好きなことを思う存分やりたい」という気持ちを尊重しながらも、特定の業種・職種のルールは厳格に適応されています。
グループ全体の交流は少なめですが、お互い分かり合える人と属人的に仲良くなれるのも、このコミュニティの特徴だと言えるでしょう。
コミュニティそのものよりも、スキルを高めたい、新しい知識を習得したい...という人にとっては居心地の良いコミュニティです。
行動指針
このコミュニティは、リーダーの「好きなこと」を軸に回っています。でも、ただの趣味の会ではありません。みんなで知識や技能を高め合うことで、お互いの信頼関係が生まれます。
リーダーの役割
- プレーヤー:自分もその分野の第一人者である(これは絶対条件)
- ファシリテーター:共通のテーマをもって、皆で学びと成長を楽しむ
- ワンオペ:勧誘-教育-定着の仕事を担う
主催者は、いわゆるオタク気質な人が多いです。単に、ユーザーとして好きなだけでは収まらず、そのすきを皆と共有したい想いで、ノーマライザーコミュニティは作られる場合が多いです。
例えば、プログラミングなら業界でも認められる技術を持ち、料理なら腕利きのシェフレベル。そんな実力者が、分かりやすく楽しく教えてくれる。
つまり、主催者は「知識や技能を共有する第一人者」であるべきなんです。そうすることで、コミュニティの価値が高まり、メンバーの成長も加速するのです。
価値観
4つのコミュニティの中では、比較的おとなしめですが、主催者は、狂気じみたオタク精神に満ちています。単に趣味や仕事ではなく、自分の「好き」を限界まで追求しています。
例えば、以下のような具体例があります
- 競技プログラミングに没頭するプログラマーたち
コードの最適化や速度、効率に関して限界を追求し続けます。問題解決のために一晩中アルゴリズムを研究し、ほんのわずかな改善でも大きな満足感を得ます。コードを書く行為はアートであり、他人には理解しがたい美学にまで到達しています。この狂気の探求が、同じ価値観を持つ者たちを引き寄せます。 - 「SASUKE」への挑戦に燃えるアスリートたち
ある商社マンは、仕事での成功にもかかわらず、純粋な肉体的挑戦に魅了され、「SASUKE」という極限の障害物コースに挑戦し続けています。何年も準備し、身体を鍛え上げ、日常生活のすべてをトレーニングに捧げる姿勢は、狂気の域に達しています。このような挑戦を愛する者たちが集まり、互いに高め合いながら目標を追求しています。 - ディベート団体に所属する言葉の探求者たち
言葉の力を最大限に駆使することに情熱を燃やすディベート愛好者は、論理と表現力を磨くため、他人との議論に一晩中没頭します。勝敗ではなく、いかにして自分の主張を理路整然とし、相手の弱点を突きつつ自分の意図を明確に伝えるかにこだわります。ディベート団体のメンバーは、言葉の美しさと力を極限まで高めることを目的に集まり、狂気的なまでにこの探求に没頭しています。
このようにノーマライザーは、「好き」を追求する狂気の精神がモチベーションになります。この精神に共感し、同じように没頭できる人たちだけが、ノーマライザーコミュニティに惹きつけられます。
そのため、他のコミュニティと比べて、参加者に対してもプロ意識を求めるし、人間関係は希薄かもしれません。(主催者によってだいぶ異なる)
運営
勧誘
ノーマライザーコミュニティは、同じジャンルやカテゴリを共有できる人たちの集まりであるため、高度な集客・マーケティング・勧誘に力は注ぎません。逆に、初学者や未経験者に対してドライな対応を取る事も珍しくありません。
1. 何をやりたいかをキチンと宣言する
ノーマライザーコミュニティの強みは、何ができるかがハッキリしている点です。例えば、料理系のコミュニティなら「本日は中華料理を作ります」、英語系のコミュニティなら「本日のイベントでは英語面接の技法を学びます」などどんな活動をするのかをPRしやすいです。
2. 独自性を前面に出だす
ノーマライザーコミュニティの勧誘は、表面的な宣伝や派手な広告ではなく、独自の世界観に共感できる人だけを引き寄せると上手く行きます。メッセージは、狂気的なまでに好きなことに没頭する姿勢を徹底的に表現する必要があります。
- プログラマーがコードの美しさを求め続ける
- アスリートが身体的な挑戦に執着する姿
- ディベート愛好者が言葉の探求に没頭する
3. 参加者が世界観に自然と惹かれるようにする
ノーマライザーコミュニティは、「本当にこの価値観に共感できる者だけが参加すべき」という意識が強いため、大規模な集客活動や宣伝は不要です。むしろ、静かにその価値観を提示し、自然とその世界観に共感した人々が自ら集まることを重視します。
ウェブサイトやパンフレットで伝えるメッセージは、一般受けする内容ではなく、専門用語や深い技術的な説明を用い、表面的な興味ではなく本物の情熱を持つ人だけが参加するよう誘導するのです。
4. 仲間としての共感を強調する
勧誘のメッセージでは、「ここに来れば〇〇を学べる」「〇〇が手に入る」といった単純なベネフィットの提供ではなく、同じ価値観を持った仲間がいることの安心感を強調します。このコミュニティに参加することで、自分の「好き」を追求し続けられること、そしてその姿勢を尊重し合える仲間と共に過ごせることを前面に打ち出すことで、より深いレベルでの共感を呼び起こします。
ただし、現実的には、どんなに魅力的な世界観を持つコミュニティであっても、適切なマーケティングは必要です。特に初期段階では、その独自性を知らしめる手段として、最低限の宣伝活動が求められます。たとえ派手な広告を避けるとしても、ウェブサイトやSNSでのターゲティング広告を活用し、「好き」を極めることに共感する層に適切にリーチすることが大切です。
教育
ノーマライザーコミュニティの成功は、参加者同士が「好き」を共有できるかどうかにかかっています。そのためには、徹底的な教育が必要です。このコミュニティでは、自分のノウハウや知見を惜しみなく出せるマインドこそが全てであり、それが共有されることで初めて真の価値が生まれます。参加者が自身の知識を広く公開し、「私はこの分野の第一人者だ!」という自信を示すことが求められます。
具体的な手段としては...
- 本を書く
自身の知見をまとめた本を執筆し、それをコミュニティ内外に広めることで、他者に対するリーダーシップを発揮する。これは、参加者の「好き」を他者に伝える最も効果的な方法のひとつ。 - オウンドメディアを作る
自分の知識を基にしたブログやウェブサイトを運営し、日々の経験や技術を共有する。専門的な情報を外部に発信しつつ、コミュニティ内の参加者とも連携を強化する。 - 教科書をウェブサイト化して共有する
専門的な知識や技術を体系化し、教科書としてウェブサイト上に公開することで、参加者がいつでも学べる環境を提供する。これにより、知識の共有が持続的に行われ、好きがさらに深められます。
教育に手を抜けば、「好き」は深まらず、コミュニティ全体の価値が失われる危険があります。だからこそ、参加者一人ひとりが、自身の知識を惜しみなく提供する姿勢がこのコミュニティの成功を左右するのです。
定着
ノーマライザーコミュニティにとって定着は永遠の課題です。参加者も、技術や知識を習得してしまえば去っていきます。極論を言うなら、このコミュニティのモットーは来るもの拒まず、去る者追わず!です。
例えば、以下のような未来を提示することで、参加者は理想に近づいていく自分を想像し、定着するようになります。
- 英語の習得
英語学習において、具体的な資格や試験の目標だけでなく、数年後には「自由に英語を使って国際的なビジネスを展開できる自分」を目指す未来を描きます。確かな目標ではなく、漠然とした理想像を持ちつつ、そのために日々の学習がどれだけ大切かを強調します。 - ITスキルの習得
IT分野では、新しい技術をマスターすることや、数年後に「業界の最先端で革新的なプロジェクトに関わる自分」をイメージさせます。具体的な技術だけでなく、未来の理想像に近づくために必要な日々の学習とチャレンジが重要であることを伝え、コミュニティがその成長を支える場であることをアピールします。 - 起業への道
起業に興味がある参加者には、「すぐに結果を出す」ことを目標とせず、数年後に「自分の情熱を形にし、成功に近づいている自分」を目指す未来を提示します。起業は時間のかかるプロセスであり、その過程で成長していくことが重要だと伝えることで、コミュニティを長期的な学びと支えの場と感じてもらえます。
こうした不確かなゴールを設定し、そのゴールに向かって着実に進んでいく未来を描かせることで、参加者はコミュニティに定着し続けるのです。課金戦略は別途相談ください。
主催者
理想の状態
ノーマライザーコミュニティの理想は、ひとりひとりが、「その分野」においてスキル向上させ、成長できる状態です。同じ世界観を持つ人たち同士が、共に情報を共有し合い、お互いの関係を通して、自然とひとりひとりが成長できる手ごたえを絶え間なく感じられていれば、このコミュニティは大成功でしょう。
良い意味で手段と目的が入れ替わったときにノーマライザーコミュニティは大成功です。
- 英語学習
英語を学ぶ目的は人それぞれですが、ここでは「英語を話せるようになる」こと自体が目的にはならず、英語を通じた学習プロセスそのものに価値を見出す世界観が広がる。異文化を理解し、自己表現の幅を広げる過程を楽しみ、その過程がコミュニティ全体に刺激を与える。 - 料理
単にレシピを覚えたり、特定の料理を完璧に作ることを目的とせずに、料理を通して食材の可能性やひとりひとりの生き方を追求するがコミュニティの価値となる。料理を通して得られる創造性や発見を共有することに価値を感じて、料理好きが自然と集まる。 - 格闘技
格闘技のゴールは大会で勝つことや、有段者になる事ではなく、鍛錬や精神修養を通じた成長プロセスを学ぶところに本当の価値があります。道場での練習や型の習得を繰り返すことで、精神的な強さやバランス感覚が育まれ、その手段を通じた人間としての成長に重要視されます。
手段が目的化する理想のコミュニティ
ノーマライザーコミュニティの本質は、まさに武器屋のような存在です。単なるツールとして知識や技能を提供するだけではなく、そこに魂がこもっているかが大切です。参加者たちはその手段に魅力を感じて、自由に使いこなすことに喜びを感じます。
重要なのは、手段そのものにコミットすることであり、目的を押し付けることではありません。目的やゴールは参加者自身が決めるものであり、あなたはその過程を応援する存在です。
ノーマライザーは、参加者の人生に直接関与するのではなく、あくまで「武器の提供者」としての役割に徹します。提供する手段に価値を感じた参加者が、その武器をどう使い、どのように自分の目標に到達するかは彼ら次第。あなたは、その手段を最高の形で届けることに全力を注ぐのです。
不均衡な状態
ノーマライザーコミュニティの不均衡な状態は、運営者が自分の手段(武器)に対して自信を失った瞬間です。例えば、ITが経営効率のための手段、デザインがマーケティングの手段と揶揄されて、自分たちが信じる価値を否定されたときに、ノーマライザーコミュニティは停滞の一途をだどります。
事例1: 自分の技能が大したことがないと感じる
運営者が「自分のスキルは他より劣る」と感じると、提供される手段自体の価値が下がり、参加者にもその自信のなさが伝わる。例えば、ITを教える人が「ITはただの業務効率化手段」と感じてしまうと、虚無感がコミュニティ全体に漂う。
事例2: ゴールにコミットする自信がない
参加者の目指すゴールに自分が応援できないと、手段を提供する側としての価値が揺らぎます。目的や手段を混同し、「自分にはそこまでコミットできない」と感じることで、参加者も道を見失う可能性があります。
事例3: メンバーと価値観を共有できない
運営者が、参加者と価値観を共有できないときも不均衡が生じます。デザインがマーケティングの手段にすぎないと感じるクリエイターが、自分の武器に情熱を持てない場合、その精神は参加者に伝わり、コミュニティの一体感が失われます。
手段に対する自信を失うと、コミュニティ全体が揺らぐ危機に直面します。それこそが運営者にとって最大のピンチです。この状態になったときの、アドバイスはひとつです。
もう潮時だ!
崩壊寸前の状態
ノーマライザーのコミュニティは、参加者との温度差が原因で簡単に崩壊します。但し、そこら辺は残ったメンバーとどのように運営していくかを話し合えば、適切なバランスで続けていく事が可能です。
本当の崩壊は、運営者自身が、その分野を皆と共有することに対する情熱を失ったときに訪れます。運営者が武器の提供者としての役割を見失うと、参加者もその価値を見出せなくなり、コミュニティは消滅してしまうのです。
ノーマライザーは、何度も失敗を経験するかもしれません。それでも、コミュニティ運営に対する情熱を失わなければ、何度でも作り直すことができます。失敗は学びの一部であり、情熱を持ち続ける限り、それは終わりではありません。
諦めるときは潔く、スパッと手放すのも一つの選択肢です。そして、また新たに作り直すのもありです。
本当の資産は、メンバーではなく、あなた自身の知識・技能・経験です。そして大切なのは、あなたの内にある情熱です。リソースは十分にあります。
モチベーションが落ちたらスパッとやめて、気が向いたら立ち上げればよいかと思います。